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広報PRの力で「自分ごと」に。飲酒運転ゼロを目指して伝え続ける|東海電子株式会社

静岡県富士市に本社を構える、東海電子株式会社。「社会の安全、安心、健康を創造する」を経営理念に、アルコール検知システムや IT点呼システム、運行管理システムの開発・販売を行っています。

警察庁の調べによると、2024年度に全国で発生した飲酒運転による交通事故は2,346件。そのうち死亡事故件数は140件で、前年度よりも28件増加する結果となりました。飲酒運転という社会問題に対し、同社はどのような取り組みを行っているのでしょうか。

本記事では、IL推進事業部の中山春美さんにインタビュー。飲酒運転防止のリーディングカンパニーを掲げる東海電子の広報PR活動について、詳しくお話を伺いました。

東海電子株式会社(静岡県富士市):最新プレスリリースはこちら

東海電子株式会社 IL推進事業部 部長

中山春美(Nakayama Harumi)

営業支援G営業管理G営業企画部を経て、2024年10月より新たに発足したIL推進事業部に所属。IL推進事業部では、アルコールインターロック導入により飲酒運転に悩まれているご家族に安全と安心を提供できるよう、個人の方に寄り添い日々の業務に邁進しています。飲酒運転で検挙された方へのアルコールインターロック義務化、日本から飲酒運転による被害者、加害者が生まれない社会を目指してます。【保有資格】ASK飲酒運転防止インストラクター、運行管理者(貨物・旅客)

2つの部署が連携し飲酒運転ゼロへ

──まず、中山さんが所属されている「IL推進事業部」について、どのような部署か教えていただけますでしょうか。

「IL推進事業部」は、アルコール・インターロック(飲酒運転防止装置)の普及を目的として、昨年10月に新設されました。アルコール・インターロックは、呼気からアルコールが検出されるとエンジンが始動しない装置で、2009年から販売を開始して、現在全国の車両搭載数は約3,300台です。

主に運送業者さんなどの商用車両への導入が中心であり、個人への普及はまだ限定的ではありますが、飲酒の問題を抱える方もいらっしゃいます。そのようなご家族の中には、悩んでいても声を上げられず、事故後に後悔するケースも少なくありません。そうした事態を未然に防ぐためにも、アルコール・インターロックの認知拡大と啓蒙活動に取り組んでいるところです。

──IL推進事業部が広報PR活動も担っているのでしょうか。

当社の取り組みを広く社会に伝える広報PR活動は、営業企画部が担っています。広報PRの役割としては、飲酒運転ゼロを目指すさまざまな活動を行っており、「呼気で社会課題の解決を実現する世界でも唯一無二の企業」というビジョンの認知を高めようと日々活動しているんです。当社の取り組みへの理解と支持を広げ、より安全で健康な社会の実現に貢献することを目指しています。

一方、私たちIL推進事業部が取り組んでいるのは、お問い合わせをくださった個人の方への対応や、自治体・地域の方に協力を仰ぎ、広報PR活動だけでは浸透できないような一人ひとりの理解を深める活動です。例えば、アルコール・インターロックの普及活動の一環として議員さんからアテンドしていただき、国土交通大臣に法改正のお願いに上がることもあります。こうした取り組みは営業企画部にも共有し、プレスリリースや当社のWebサイトで情報を発信してもらっています。

──広報PR活動を強化しようと思った背景を教えていただけますでしょうか。

2021年に千葉県八街市で起きた、白ナンバー(※)トラックによる飲酒運転事故がひとつの転機になっていると思います。児童5名が死傷するというとても痛ましい事故で、その事故を機に白ナンバー企業のアルコール検査義務化が進みました。同時にアルコール・インターロックの必要性が社会の声として高まり、運輸事業者だけでなく、一般企業や個人の方々からの問い合わせが急増したんです。

私たちとしては、これまでも機械で飲酒運転を止めることができることを伝えてきたつもりでしたが、隅々まで届けきれていなかったんですよね。自分たちの広報PR活動が十分ではなかったことを痛感し、飲酒運転防止の重要性と当社の技術の有効性を、社会に向けてより積極的に伝えていく取り組みを始めました。そうすることで、飲酒の問題で悩んでいる方やそのご家族を救うことができるのではないか、飲酒運転ゼロを本気で目指せると思ったんです。

※白ナンバー:自家用、運搬できるのは自社の荷物のみです。対して緑ナンバーは運送事業用で他社の荷物の運搬が可能です。

──社会の関心が一気に高まったんですね。

そうですね。大きな事故が起こるたびにメディアや自治体から連絡をいただきます。ですが、社会の関心が高まるのは一時的で、時間の経過とともに風化してしまうんです。事故が起きたとき、メディアからの問い合わせは1ヵ月ほど続きます。そこから1年経ったころ、再び問い合わせがありますが、それは1週間ほどで終わります。そうではなく、忘れてはいけないし、常に飲酒運転根絶を掲げていかなければいけないと強く思っています。

そのために私たちは、IL推進事業部、営業企画部が連携しながら「風化させてはいけない」ではなく、「こんなに辛く悲しい事故をなくさなければいけない」と広報PR活動に取り組んでいます

東海電子株式会社01

BtoCへの発信は「自分ごと化」を大切に

──プレスリリースで拝見しましたが、個人の方に向けた活動も積極的に行われていますよね。どのような活動をされているか教えていただけますか。

当社では、新製品やサービスの発表、飲酒運転防止に関する啓発活動、実際にアルコール・インターロックをご利用いただいている方の声を載せたユーザーレポート、また社会課題解決のためのセミナーの開催などについて、幅広くプレスリリースを配信しています。

私は個人の方からお話を伺っていますが、飲酒運転に悩むご本人、ご家族の中には本当に苦しい思いをしている方がいます。アルコールインターロックが飲酒運転による悩みを解決できることを伝えているんです。

参考:飲酒運転・泥酔状態をイオンモール富士宮で体験できる!?「飲酒運転できない車」展示イベント 11 月 3 日(日)4 日(月・祝)無料開催!
参考:飲酒運転の加害者をゼロにする活動を行う東海電子、飲酒教育・飲酒運転体験など出張イベント承ります!
参加:今までにない新しい飲酒運転撲滅運動「飲酒運転 NO!CAFE」イベントを福岡で開催します!

また、2024年6月20日に発表した「【飲酒運転できないクルマ専門店】アルコール・インターロック搭載中古車販売事業を始めました」は、特に大きな反響がありました。PR TIMES主催の『プレスリリースアワード 2024』の Best101 にも選出されましたが、当社の認知度が大きく向上した発表になったと思います。正直ビジネスとしては成り立っていないのですが、利益の追求だけでなく、アルコール・インターロックを普及して飲酒運転を根絶するためにはやらないといけないと思っていますね。

──情報を届けたい先はBtoB、BtoCとありますが、プレスリリースを書く際、どのようなことを心がけていらっしゃいますか。

今までは企業向けに配信していたものが、より広く幅広い方々に見ていただけるようになったので、法人・個人の垣根を超えて「誰が受け取っても伝わるわかりやすさ」を心がけています。飲酒問題や安全な交通社会は誰にとっても他人ごとではないため、受け取った人が「自分ごと」としてとらえられる視点を大切にし、読む人に響くぬくもりを持った言葉を心がけていますね。

それは、私たちIL推進事業部も同じで、「アルコール・インターロックをつけるべきだ!」という、押し付けるような広報PR活動はしたくないと思っています。機械の力で飲酒運転はなくせるのだから「私たちが力になります」「私たちに頼ってください」ということを伝えていきたいです。

──企業ではなく、個人のお客さまへの対応も大きく異なるのではないでしょうか。

個人のお客さまの場合、飲酒問題を抱えているご本人やご家族から、どのようなことに困っているのかを教えていただく必要があります。また、導入にあたっての注意事項を正しく理解していただかなければなりません。本当のところを安心してお話いただけるよう、丁寧なコミュニケーションは常に意識しています。

お客さまに安心していただくという点では、ユーザーレポートも掲載する意味があると思っています。実際にアルコール・インターロックを導入された企業だけでなく、個人のお客さまの声をヒアリングしてまとめたもので、ホームページにも掲載しているんです。今はまだ4家族ですが、それぞれに導入に至った背景が異なり、参考にしていただけるのではないでしょうか。

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社会を動かすために声を上げ続ける

──『April Dream』にも毎年参加してくださっていますよね。

私たちがPR TIMESを利用し始めたのは、2020年のコロナ禍がスタートしたタイミングでした。内勤者の多くがテレワークになったのを機に、情報発信も従来の紙媒体からWebに切り替わり、プレスリリースを配信するようになったのですが、何かもう少し工夫を凝らした配信ができないかと考えていたときに、『April Dream』の企画を知ったんです。エイプリルフールではなく、『April Dream(夢を語る日)』というのが素敵だと思いましたし、当社の取り組みを広く発信するうえで大きな可能性を感じました。

「飲酒運転ゼロ」という大きな夢の実現に向けて、草の根活動のように一人ひとりに訴えかけることももちろん大切ですが、『April Dream』という、広く夢を発信できる場で当社の思いを伝えることによって、より多くの共感を得られているのを実感しています。特に、『April Dream』プロジェクトの『Made in April Dream』で、東海電子の夢が映像化されたことも夢の実現を後押しする力となりました。

今後も夢を夢で終わらせないために、当社のビジョンを明確に発信し、社会変革の具体的な道筋を示す場として『April Dream』を活用していきたいですね。

東海電子株式会社 プレスリリース

参考:アルコール・インターロックの法制化を実現させ、飲酒運転をゼロにします。

──最後に、「アルコール・インターロック」のこれからの展望や取り組んでいきたいことなど教えていただけますでしょうか。

今後も、飲酒運転ゼロを目指し、アルコール・インターロックの社会実装、法制化の実現に向けて取り組んでいきたいです。飲酒運転防止カンパニーとして、命を守る技術開発に力を注ぐと同時に、社会全体の意識向上を図る啓発活動にも注力していきたいと思います。

今は一生懸命その種まきをしているところです。日本地図を見ながら、飲酒運転に関する条例のある県を調べたり、飲酒運転根絶の啓蒙活動をさせていただけないかアプローチをしたりしています。今では、お問い合わせをいただくことや、自治体のイベントに参加させてもらえるケースも増えました。

交通事故でお子さんを亡くされた方の中に、飲酒運転根絶を目指して活動されている方もいます。被害者のご家族が頑張ってくださっているのだから、私たちも一緒になって取り組まなければ飲酒運転は絶対にゼロにはなりません。そのような思いで社会を動かすために日々活動しています。

また、飲酒問題を抱えた方のご家族の中には、お酒を飲んで運転してしまわないか常に不安を感じている方も少なくありません。アルコール・インターロックを実装したご家族から「安心して眠れるようになりました」とご連絡いただいたときは心から嬉しかったですね。当事者とそのご家族に寄り添い、適切な支援を提供することも、私たちの重要な使命だと考えています。

これからも技術、啓発、支援という多角的な取り組みを通じて、安全で健康な社会の実現に貢献していきたいです。

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まとめ:社会に一石を投じ続ける東海電子の広報PR

アルコール検知システムをはじめとする技術と、丁寧な情報発信によって「飲酒運転ゼロ」の実現を目指す東海電子株式会社。営業企画部とIL推進事業部が連携し、それぞれの立場から企業や個人、そして社会全体への働きかけを続けています。

大切にしているのは、一過性ではない継続的な啓発と、誰もが「自分ごと」としてとらえられるメッセージを届け続けること。

単なる製品提供にとどまらず、啓発活動や法制度への働きかけ、当事者やご家族への丁寧な支援まで、あらゆる角度から飲酒運転根絶に向けて歩みを進める同社の取り組みは、自社の事業を通して社会課題の解決を目指す企業にとっても参考になる事例ではないでしょうか。

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この記事のライター

PR TIMES MAGAZINE執筆担当

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『PR TIMES MAGAZINE』は、プレスリリース配信サービス「PR TIMES」等を運営する株式会社 PR TIMESのオウンドメディアです。日々多数のプレスリリースを目にし、広報・PR担当者と密に関わっている編集部メンバーが監修、編集、執筆を担当しています。

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